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【映画感想】『裸足の季節』は想像以上に胸が痛くなる映画だった

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ようやく見れました。『裸足の季節』。

恵比寿ガーデンシネマで上映していたのですが、期間中は1日も仕事の休みがなく、僕はとうとう観ることができなかったんですね。

今、見終わった率直な感想を言うなら、映画館で観たかったなあ、と。

さて、本題に入りますか。

脚本上の重要なネタバレはなしで紹介していきます!
感想はその後で!

 

映画『裸足の季節』とは?

世間での評判や監督の評価は?

『裸足の季節』はトルコが舞台の映画です。
もちろん言語はトルコ語。DVDをレンタルしましたが、トルコ語音声の字幕があるだけで吹き替えはなしです。

デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督は、同作がデビュー作になります。

なので、実はまだWikiすらなかったりします笑

「裸足の季節」で調べると、たぶん松田聖子の曲が出てきますよ!

しかし日本国内の知名度は低くても、海外では結構評価されているんです。

・第68回カンヌ国際映画祭 ヨーロッパ・シネマ・レーベル賞獲得
・第73回ゴールデングローブ賞外国語映画賞ノミネート
・アカデミー賞フランス代表に選出
・アカデミー賞外国語映画賞にノミネート

その他にも公式トレイラーではこんな紹介が。

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うーんなんかいっぱいある!

これほど評価されながらも、都内ですら上映館が10に満たなかったというのは意外ですね。
上映前からすごく期待していたので、近所でやらないと分かった時は「あ、仕事で見に行けないやつだ」と思いましたよ。
案の定でした。

あらすじ

5人姉妹の末娘ラーレは、幼いながらも、周りに流されないしっかりした意志を持つ芯の強い子どもだった。
ある日、姉妹が浜辺で遊んで帰ってくると、「男と遊んでいた」という理由でお仕置きを受けてしまう。
姉妹で一番反抗したのがラーレだったが、大人には敵わなかった。
それ以来、姉妹は外出禁止を命じられてしまう。
家には塀ができ、姉妹には良妻になるための教育が始まる。
それでも5人は、姉妹が揃っているからまだ幸せを感じられていたのだ。
長女に縁談の話が舞い込んでくるまでは…。

主人公はラーレです。

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幼いながらも美人!
どことなく意志の強さを感じられる瞳ですよね。いい子役です。

お姉さんたちも美人なんですよね~。

5人姉妹が楽しそうにしているのを観るのは、思わずにやにやしてしまいます。

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すごく楽しそうにしているんですが、これが家に帰ると…。

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おばさん、怖すぎですわ。

こうした理不尽に抗うのが、『裸足の季節』のテーマでもあります。

果たして、姉妹はこの狭い世界を打ち破り、幸せになることができるのか…?

映画『裸足の季節』の感想・レビュー

信じられないような文化の違い

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なんと、子どもたちの結婚が、親の意向で決められてしまいます。

女の子達だってお年頃なわけですよ。
そりゃ好きな人だっているし、色々興味があるし、これからもう映画のようなロマンスだって訪れるかもしれないわけですよ。

それが、息子に変わって「求婚する」爺と娘に変わって「お受けします」とか言っちゃう婆のせいで全て夢の彼方へ…!
(もしかしたらイスラムの結婚式の決まり文句みたいなものかもしれませんが、これを何の説明もなしに撮っちゃう監督がニクい)

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この辺りの流れは公式トレイラーがすごくきれいにまとめている気がしますね。
あれは本当にプロの仕業。

話が逸れました。

ところで結婚前の女性は処女でなくてはいけない、という風習があるようです。
結婚した二人は初夜を迎えるわけですが…。

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こえええええええええ!

お母様が証拠を見つけようとしているわけです。

少しでも疑わしければ「処女検査」などというものをすることになります。

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ビッチなのかな…?と思いきや。

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切ない思いを抱えているのです。その裏返しなんですね。
文化の違いにより、抱える悩みもまた、違ってくるようですね。


この紹介で勘違いする人がいるかもしれませんし、観て感想を公開した上でなお勘違いしている人もいるみたいだったので補足しておきます。
トルコの全部が全部、このような文化なのではありません。

これは作中でもしっかり明示されています。

5人姉妹の家の異常性と、村の他の子どもたちの対比は至るところで見られます。
顕著なシーンがあるのですが、「村の女の子はみんな行くよ」という姉妹の家の環境では考えられないセリフが、村の女の子から聞けるのです。
ネタバレなのでぼかしていますけど、もちろん姉妹はこれに対して許可が下りません。

特に姉妹の家が異常だということなんですね。
だいたいそうでなければ、幸せを望むラーレや姉妹に対して家や文化が敵のように演出されることはないでしょうから。

メタ的な解説でした。

芸術的なカット

この映画では時折はっとするようなカットが入ってくることがあります。
そのカットが登場人物の心情や脚本上の演出に結びついていて感動的なのですが、一番見せたいカットは最大のネタバレになってしまうので控えます笑

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監獄のような家の中で光を浴びる姉妹。
まるで芸術作品のようですよね。

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決意を固めるラーレ。
これはトレイラーの中でも印象的なカットでした。

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暗い色の服の上に良妻の象徴でもあるエプロンを着せられて寝転がるラーレ。

『裸足の季節』では、このように女の子が寝転がっているシーンが多くあります。
女の子がそんなこと、だらしない!」みたいに言ってくる大人たちがいる一方で、映画自体はまるで煽るかのように映してくるわけですね。

これは、あえてそういうシーンを増やすことで、視聴者に「共犯者」になってもらうという演出なのだと思います。
虐げられるだけではまだ足りない。
やってはいけない」と言われていることを視聴者の前だけでやる。
そうして視聴者と秘密を共有することによって、より登場人物に感情移入させようというわけです。

他にも物語でも重要になっているとあることを連想させるのですが、これもまたネタバレになってしまうのでやめておきましょう。

雰囲気の落差

上記に書いてきたとおり、この映画で扱われるテーマは、相当重いです!笑

ですが一方で、5人姉妹が幸せそうに笑う煌びやかな部分だってあります。
その明るい雰囲気と、暗い雰囲気の落差がとんでもない映画でもあります。

なので楽しい映画しか受け付けない!という人には、うっ、と思ってしまうような作品になる可能性もありますね。

なにせ煌びやかな雰囲気がある分、落ちたときの雰囲気は本当に暗いですから…。

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5人姉妹は果たして、幸せを勝ち取ることができるのでしょうか?

映画『裸足の季節』はこんな人におすすめ

誰にでもおすすめとはいきません!

この映画の魅力をまとめると、僕は以下のとおり推したいと思います。

・5人姉妹の絆の美しさ
・乗り越えようと抗う意志の強さ
・人間の心情を映した映像的芸術美
・ラーレかわいい

フランスで激賞されているのを思うと、やはり文学性を評価されていると思います。
静かにゆっくりできるときに観るといいかもしれませんね。

ただやっぱり、5人姉妹が光を浴びているカットとかは大画面で観たかったな~。

ちなみに。

既に見終わったんだけどオチが分からないや、という人はもう一度最初から再生してみればすぐに気づくと思いますよ。